「ローカリティ×表現」の可能性

「『大阪的表現』ということ」をテーマに「うめきたTalkin’About」が7月14日、グランフロント大阪の大阪ガス(株)エネルギー文化研究所都市魅力研究室で開催されました。21名が参加、意見を交換しました。

大阪アーツカウンシルは、「大阪のローカリティ(地域性・固有性)に着目した表現」が持つ可能性に注目しています。

毎回、異なるテーマを掲げ、興味・関心を持った人たちが自由に集い、語り合う“サロン”である「Talkin’About」という場で「大阪的表現とは何か」を考えてみたいと、今回の企画が生まれました。

まず最初に、大阪アーツカウンシル統括責任者・佐藤千晴さんより、以下の話題提供がありました。

・世界の超一流を集めるフェスティバルが、大阪にもかつてあった。たとえば初期の「大阪国際フェスティバル」は大物アーティストの来日公演が看板だった。こういうフェスには潤沢な予算が必要だが、いま、大阪はそういう状況にない。また、大阪には市民・民間による自発的なプロジェクトがすでに多く存在し、ビッグネーム依存型のフェスには人が集まりにくくなってきている。

・一方で近年「地域アート」が盛んになってきている。越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭など。アートフェスが、山の中や離島に新たな価値を生み出している。

・大阪には豊かな芸能の歴史がある。お笑い、コナモンなどのステレオタイプで語られがちだが、大阪府域を広く見渡したときには、地方色ある表現があり、それが大阪の新たな魅力を創出する可能性がある。

・「大阪は都会であり、同時に田舎である」。大阪のローカリティに立脚した小さな表現、小さな磁場を集積させていくところから、大阪的なものを表現していくことも可能ではないだろうか。

参加者のみなさんからは、以下のようなご意見をいただきました。

・世界の都市ランキング34位、インバウンド観光客が1100万人。そういう国際的な大阪が、これから何をしていくのかを考えるべき。

・そもそも大阪という場所では、作品が機能しない。それは批評が大阪では根付いていないから。大阪では、批評より「盛り上がる」ことが大切。

・気になるのは「人材」。今後の表現活動を担う若手・学生の活動の広がりが弱くなってきている。

・作品を作っても、観たことのある人だけが観ている。全く見たことのなかった作品と出会うチャンスを作らないといけない。

・地域の違いよりも、個人の違いが大きいのでは。地域のテロワールよりも、作り手の個性。

・むりやり特殊性を出さなくても、大阪に住んでいる自分たちが面白いと思うことをやればいいのでは。

・地域性については、表現者が考えるのではなく、編集する側(プロデューサー・批評家・メディア)が意識し、編集し、世に送り出すというのはあるだろう。

・自然に出てくるもの、個人の強い思いから始まっている、強度のあるものを上手に編集できれば。

・民間企業や市民がアートを支えているというのが、大阪的では。

・大阪では、ボランティアの人たちの力を活かして拡げていくことがもっと必要。

・「大阪」のネガティブなイメージを、いかにプラスにできるか。

大阪には、文楽をはじめとする上方芸能もあれば、能勢の浄瑠璃、八尾の高安能など、地域固有の伝統芸能も残されています。ファンク、ソウル、ブルースやストリートダンスなど、海外由来でも大阪で深く愛されているものもあります。

また、地域を拠点に長く続けてきた結果、固有の文化と呼べる芸術文化活動も存在しています。さらに、サイト・スペシフィック(場所の固有性)を意識した表現・作品については、現代アートの分野で盛んに行われ、演劇においても、地域演劇という流れが生まれつつあります。

 大阪アーツカウンシルでは、大阪における文化的固有性を幅広くとらえ、「ローカリティ×表現」の可能性を探っていきたいと考えています。(山納洋)