提言・提案

大阪アーツカウンシルでは文化施策の評価、企画調査、情報の収集及び分析等を行い、調査審議した内容は、大阪府市文化振興会議に報告・提案し、必要に応じ同会議を通じて知事及び市長に答申、提言等を行います。

 

令和2年度 新型コロナウイルス感染症拡大に対する大阪の芸術文化への支援に関する提言

(令和2年度第一回大阪府市文化振興会議(令和2年6月29日)提出)

新型コロナウイルス感染症拡大に対する大阪の芸術文化への支援に関する提言

 新型コロナウイルス感染症拡大にあたり、前例のない文化行政を手探りですすめようと日々努力されていること と思います。大阪府文化振興条例に明記されているとおり、文化は人々の生きがいであり創造力の源泉です。そし てその文化を創造し享受することは人々の生まれながらの権利です。現況の中、大阪府と大阪市の文化を担当す るセクションは何をすべきか。大阪の芸術家や人々の文化への権利が守られるように、すでに講じられている支援 策に加えて以下の文化芸術支援策を提言します。

1.公立文化施設及びそこに関係する事業者、芸術家、文化団体に対する支援

 公立文化施設は、地域に根差した芸術文化活動の中間支援組織であるとともに災害時等には防災拠点になる府民・市民にとって重要な施設です。現況において各施設が運営等に困窮していないか確認し必要があれば支援してください。またワンストップ窓口を大阪府立江之子島文化芸術創造センター、大阪市立芸術創造館等に設置し、現況において困っている事業者や芸術家、文化団体を適切な支援につなげるとともに、大阪の芸術文化の全 体像を把握させ、緊急時の公的な芸術文化支援へのニーズに備えてください。

2.民間の芸術文化活動に関する事業者、芸術家、文化団体に対する支援

 大阪の多様で多彩な民間の芸術活動の特性に合わせた支援を行ってください。特にオーケストラや伝統芸能など継続的に行うことで質の高い技能を有している実演家や団体を守ってください。上演芸術をはじめ、あらゆる芸術文化活動継続に必要な支援(安全な活動へのガイドライン、大阪市内に活動拠点が集積していることへの戦略的支援等)をしてください。これは府民・市民の質の高い芸術鑑賞機会を守ることにもなります。また現況において、さらなる表現開拓に挑戦する芸術家や文化団体の活動を表彰し、未来の大阪の文化芸術を代表する人材とな るように奨励金を与えてください。表彰や奨励金はその芸術家のみならずジャンル全体の励みになるばかりか、そ の活躍は新型コロナウイルス感染症拡大の時代を生き延びようとする大阪の人々の心に力を与えることになりま す。

3.子どもの芸術文化活動(鑑賞、体験、学び)に対する支援

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い各学校が休校し、今後再開された際には登校日数が限られてしまうため 学校教育において芸術に関わる時間が圧迫されるのではないかと危惧しています。芸術を学ぶことは、言葉にで きない感情に向き合う術を学ぶことであり、現況において不安を抱え、ため込みかねない子ども達には大変重要です。まず学校教育で活用できる芸術系の教材を大阪の芸術家や文化団体とともにつくってください。その際に、芸術の質の高さを担保するとともに、子どもの専門家を作成チームに入れ子どもの目線をしっかりと反映させ、かつ本物の芸術鑑賞や体験へつなげるように制度づくりをしてください。

 以上は、できることから早急に行うとともに、必要に応じて中長期的に実施してください。また教育や観光、福祉、 産業分野等と連携する際には役割分担をして縦割りで対応するではなく、相乗効果となるよう相互協力してすすめ てください。必要であればそれらを統括する機構を設置するのもよいでしょう。

以上

追記:「大阪における文化芸術関係者への新型コロナウイルスの影響に関する実態調査 報告書:速報版 2020 年 6 月 16 日」(調査主体:一般社団法人おおさか創造千島財団、協力:大阪アーツカウンシル)を参照ください。

平成30年度 大阪の文化振興に関する提案

(令和元年度 第一回大阪府市文化振興会議(2019年5月7日)に提出)

大阪の文化振興に関する提案

2019年3月28日(大阪アーツカウンシル )

 大阪に行き交う芸術家や、その活動を支えるプロデューサー・アートマネージャー等、府 ⺠・市⺠、その一人一人が大阪の文化の主役です。主役たちが互いに尊重し、大阪の文化について対話し、それによって創造活動が活性化する環境を整備する必要があります。なぜならば、近年、大阪府市の文化行政の変化、インターネットやSNS等による情報発 信のあり方の変化、少子高齢化による芸術文化の受け手や担い手のあり方の変化などにより、従来からの芸術文化を推進する枠組みを踏襲するだけでは、世代間やジャンル間交流が 疎闊になり、芸術文化活動の継続や、新しい芸術の価値観を生み出す人材育成を充分に行うことが難しい状況だからです。 大阪・関⻄万博の開催決定、インバウンドの増加、さらには外国にルーツを持つ人々との 共生などから、国際的な視点が文化振興のビジョンに求められています。また、都市の魅力 をさらに高めるためには、全ての芸術文化に対するアクセシビリティへの配慮が必要です。
この状況をよりよい未来につなげるため以下の三点を提案します。

 一つめに、これからの芸術文化を支える人材育成を行ってください。具体的には、若手及 びミドル・キャリアのプロデューサー・アートマネージャー等の海外短期研修等と、各自治 体の文化振興に関わる担当者の芸術文化の基本的な研修を連環させ、年度の枠を超えた企 画を実施することを提案します。それを通して、芸術文化の現状に見合った文化振興の環境 を整えてください。

 二つめに、補助金・助成金制度を大阪の芸術文化がより活性化する形態、仕組みに改善し てください。府⺠・市⺠、⺠間主体での大阪文化力向上のポテンシャルがある補助金・助成 金制度について、その力を最大限に活かし、より多くの必要とする事業や活動に届き、かつ より多くの府⺠・市⺠や、そこにつながる人々に波及するように、現場や時代のニーズを汲 み改善する必要があります。改善の内容については、ワーキングチームを大阪アーツカウン シル部会に設置し、先行事例やアンケート調査等をふまえ、検討していきます。

 三つめに、現行の事業評価制度が、より効果的に事業を推進し、さらには大阪の未来を語 ることに活用できるように環境を整えてください。国内外の先行事例を参照しつつ、例えば、 大阪アーツカウンシルと府市職員、事業に携わる方々が、現場で対話し、事業の成果や課題 を共有できるような評価システムの改良を提案します。

平成26年度 2015年度の予算編成に向けて 大阪アーツカウンシルからの提言

(2014年7月28日 提出)

[準備中]