第3回 大阪芸術文化交流シンポジウム「人と地域を育み・つなげる場:公立文化施設の現場から」登壇者紹介

イベント

総合司会

中西美穂(なかにし・みほ)

大阪アーツカウンシル統括責任者
大阪府市文化振興会議委員
(いずれも2018年より)

国際交流基金知的フェローシップ派遣(2007年)及び文化庁新進芸術家海外研修制度特別派遣(2011年)にてフィリピンの現代アートの現場に関わる。主な論文等「病院におけるアート・マネジメント―「アーティスト@夏休みの病院」を事例に」(2014年)、「大阪アーツカウンシルの現場から:包括的な文化振興の基盤構築にむけて」(2019年)。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
大阪の公立文化施設の現場を、府民をはじめとする文化を通して大阪をより良くしたいと願う人々に紹介し、議論を拓くためにシンポジウムを開催いたします。芸術文化には人を育み・つなげる力があります。大阪の様々な地域の館の魅力ある取り組みの一端から、ウィズコロナ・アフターコロナに向けた、文化振興や、地域づくり等のヒントを得て頂ければと思います。

第1部 基調講演「なぜ文化へ公的支援が必要か-公立文化施設の可能性-」

講師

片山泰輔(かたやま・たいすけ)

静岡文化芸術大学文化政策学部教授

慶應義塾大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士後期課程単位取得満期退学。専門は財政・公共経済、芸術文化政策。公職として、(公財)東京交響楽団 評議員、(一社)浜松創造都市協議会 代表理事、港区文化芸術ホール参与、大阪府市文化振興会議副会長、滋賀県文化審議会会長等。1995年、芸術支援の経済学的根拠に関する研究で日本経済政策学会賞(奨励賞)、2007年、著書『アメリカの芸術文化政策』で日本公共政策学会賞(著作賞)受賞。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
コロナ禍において芸術文化は不要不急なのか?

第2部 事例報告「コロナ禍における多様な取り組み」

モデレーター

權田康行(ごんだ・やすゆき)

大阪アーツカウンシル委員
伊丹市立文化会館(東リいたみホール)館長

高校で演劇部に入部。演劇部の公演で知り合った劇場スタッフと仲良くなり、劇場スタッフを目指す。
平成10年より伊丹市文化振興財団(現:公益財団法人いたみ文化・スポーツ財団)の職員。劇場スタッフとして、いたみホールの開館準備室から10年担当し、平成20年12月より平成29年3月までアイホール副館長、財団事務局勤務を経て、平成31年4月より東リ いたみホール館長を務める。これまで劇場制作を通じて、大阪の小劇場で活躍する多くの演劇人と出会う。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
公立文化施設を取り巻く状況は、指定管理者制度の導入などによって大きく変化してきました。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、これまで以上に変化の必要性を感じています。今後も社会変化に応じたアップデートの必要性があるなか、その原動力は、携わる方が「楽しんでいる」ことではないでしょうか。
公立文化施設は、地域における文化芸術活動の拠点です。各拠点を繋ぐネットワーク構築により、知の集積を図ることができるはずです。そこから、地域における課題解決のヒントが見つかるかもしれません。今回の登壇者は、みなさん地域の公立文化施設の前線で活躍されている方たちです。本シンポジウムがきっかけとなり、登壇者や参加者のみなさんと地域における文化振興の拠点をつなぐ新たなネットワークが構築されることを期待したいです。

登壇者

高坂玲子(こうさか・れいこ)

大阪府立江之子島文化芸術創造センター
(enoco)企画部門チーフディレクター

「水都大阪2009」「瀬戸内国際芸術祭2010」「おおさかカンヴァス推進事業」といった芸術祭・アートプロジェクトを経て、2012年4月の開館時よりenocoに勤務。2018年度より現職。アートを通して都市や地域の可能性をひらくため様々な実践・実験を行うenocoの事業を統括する。2020年「無所属系作家確認証発行連合体」のメンバーとして、「文化庁 文化芸術活動の継続支援事業」の事前確認番号発行に携わる。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
大阪には多くの公立文化施設があり、そこで働き、奮闘している人たちがいることが見える場になると思います。さまざまな出会いがあることを楽しみにしています。


日笠良紀(ひかさ・よしき)

公益財団法人八尾市文化振興事業団 舞台事業班 リーダー 音響担当

大阪芸術大学 芸術学部 放送学科 ラジオコース卒業
大学卒業後、財団法人八尾市文化振興事業団 企画制作課 音響担当として入社。以降、音響の技術者として実務を担当。音響改修工事等にも携わる。指定管理、貸館システム構築などのプロジェクトチームに参加。
・12回「上方の舞台裏方大賞」授賞
・大阪府知事賞 受賞
・大阪市長賞 受賞
・日本音響家協会会員

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
コロナウイルスの蔓延で八尾市文化会館でも多くの利用者の方が発表の機会を奪われました。また、それに伴い、利用者の文化活動を支える側の技術スタッフの多くも、仕事ができない、生活ができないという状況まで追い込まれています。
社会的な分断が進んでおり、それぞれがそれぞれの可能な範囲でできることをするしかないのですが、コロナ禍が収まった時に、文化芸術の火が消えることがないように今回のシンポジウムを通じて、今一度、色々な繋がりを再認識し新たに構築していく動きになればと思います。


実島直美(みしま・なおみ)

 門真市民文化会館ルミエールホール 副館長(指定管理者:NPO法人トイボックス)

地域でボランティアとして子ども向けの体験教室の企画運営を行う。
平成25年より 門真市民プラザ 生涯学習センターに勤務。平成29年より 門真市民プラザ プラザ長として、門真市のイメージキャラクター「ガラスケとハイタッチ」を公民協働でギネスの記録を達成する。
令和2年からはNPOに所属し、門真市民文化会館ルミエールホール副館長として「かどま折り鶴12万羽プロジェクト」開催した。市内在住で主に講座の企画や、市民協働型の事業企画を主に行っている。
社会教育主事資格保持。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
コロナ禍においても、文化芸術の取り組みでできることを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。

第3部 演劇『2020年、受付窓口のこと』

モデレーター

植田宏美(うえだ・ひろみ)

大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)統括責任者
NPO法人大阪現代舞台芸術協会(DIVE)理事

「ののあざみ」名義で関西小劇場の舞台に立つ俳優でもある。ドーンセンターには、DIVEが現指定管理者であるドーン運営共同体に参画していることから、2013年より受付責任者として勤務、2016年より現職。2014年ドーンセンター開館20周年を記念して開催されたドーンフェスティバルにおいて総指揮を執るとともに、フェスティバル内で上演された第18回女性芸術劇場『姉妹たちよ』の公演プロデューサーも務めた。現在の主な活動は、DIVE事業『The First Action Project(TFAP)』において、災害時におけるアート支援の仕組みとネットワークづくりに従事しつつ、緊急事態宣言発令中の2020年5月に福岡と熊本の俳優と遠距離劇団「yum yum cheese!」を旗揚げ、コロナ禍にくじけず作品づくりに邁進している。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
第3部のモデレーターを務めます。中西さんより、コロナ禍における公立文化施設のことについて『演劇』で何かできませんか!?とご提案を受け、芸術創造館の重田さんとともに企画させていただきました。芝居を通じて事例を共有し、課題について考えるきっかけになればと思います。よろしくお願いします!


重田龍佑(しげた・りゅうすけ)

大阪市立芸術創造館 館長
ARTCOMPLEX ディレクター

「アートを切口に新しい価値観を創造する」をテーマに、舞台監督・舞台美術・照明などで多くの劇団やダンスカンパニーに携わった経験を活かし、関西を中心とした複数の劇場・文化施設の運営や企画製作を行っている。行政とともに地域活性化事業や市民参加型事業、海外との連携事業など数多くのプロジェクトを手がける。若手アーティストの支援・育成や民間・公共劇場間の連携、近畿大学舞台芸術専攻で教鞭を取るなど、文化芸術を取り巻く環境づくりにも積極的に取り組んでいる。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
コロナ禍の中、公共の文化芸術施設に必要とされるのは『活動に悩む、これまでの文化芸術を担ってきた方々のケア』と『今後を担う若手の支援・育成』であると考えます。5年後、10年後に文化芸術が空洞化しないためにも、共に方法を探していく必要があります。

作・演出

鈴木友隆(すずき・ともたか)

作家・演出家
NPO法人大阪現代舞台芸術協会(DIVE)前理事

山形県出身、大阪府在住。大学時代に「ともにょ企画」を結成し、全ての作品の作、演出を担当。『レイク横』でウイングカップ2010最優秀賞受賞。2013年、「劇王Ⅹ~天下統一大会~」に関西代表として参加。2015年、病気を患い、ちゃんと働くことを決意。以後劇団活動を終了し、大阪府内の公立文化施設で受付スタッフとして勤務している。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
今回こういったお話をいただき、公共施設で働く劇作家というのも、あんまりいないんだな、と初めて気づきました。
せっかく機会をいただきましたので、一つの作品として、ということはもちろんですが、一つの記録として、形を残しておけたらと思います。

第3.5部 ちょっと立ち話「“自然史系”のつながりは持続可能!?」

風間美穂(かざま・みほ)

泉州紀北ミュージアムネットワーク副代表
きしわだ自然資料館学芸員
堺市レッドリスト・外来種ブラックリスト改訂懇話会委員
(公財)日本野鳥の会大阪支部幹事
こどものためのジオ・カーニバル企画委員会企画委員

ため池で生息するカイツブリなど水鳥の生態が専門分野。勤務先のきしわだ自然資料館は1995年に開館した小さな自然史博物館で、「チリメンモンスター(チリメンジャコのなかにまじるイワシシラス以外のいきものたち)」プログラム発祥の地でもある。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
公立文化施設のなかまである「博物館」の現状や課題を、みなさまと少しでも共有できればと思います。

第4部 トーク「未来の大阪をつくる公立文化施設:ネットワーキングをてがかりに」

モデレーター

岡本友厚(おかもと・ともあつ)

東大阪市文化創造館 副館長(指定管理者:PFI東大阪文化創造館株式会社)

大量集客型のイベント企画や大阪市の美術展、ピカソ展、エルミタージュ展などの事務局運営を担う中、地域活動の振興や文化の向上、まちづくりの推進に関心を持つ。その後、公立文化施設の運営、新規開拓・開業にも携わり、国内外のコンテンツを募るクリエイティブアワードのプロデュースを通じて知見を深める。平成30年より現職。近くからも遠方からもやってくる人たちでこの東大阪市の魅力がさらに高まることを願う。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
我々を取り巻く環境は、少子高齢化や高度情報化へ大きく変化する中で、公立文化施設に対するニーズも多様化していると思われます。また、地域が抱える課題も複雑化しています。あらゆる問題はその都度解決する必要がありますが、ついつい後回しにしていると更に問題が大きくなる事態を免れません。広域的かつ総合的な視点から地域をつなぎ、複雑化する問題解決の糸口を見つけることができないものか。第Ⅳ部は、公立文化施設の可能性、そのネットワークが、未来の大阪における豊かで活気あるくらしの核になり得るのであれば、楽観的であれ、まずは相互理解からでも始める価値があるのではないか、という提案です。公立文化施設の現場で働く人たちによる自由なコミュニケーションが、自発的なコラボレーションを生み出して問題解決していく未来を一緒にイメージしてもらえると嬉しく思います。

登壇者

新熊 章(しんくま・あきら)

堺市民芸術文化ホール(フェニーチェ堺)主査(事業担当)

1999年に堺市入庁、堺区役所地域福祉課や財政課等に所属。2012年より文化課で、市内文化会館等の指定管理施設の運営調整、自由都市堺文化芸術まちづくり条例や自由都市堺文化芸術推進計画の策定に携わる。2016年に堺市より(公財)堺市文化振興財団に出向。2019年10月よりフェニーチェ堺開館にあわせて、事業担当としてオープニングシリーズの落語や文楽公演を担当。現在は、チームリーダーとして、助成金申請、事業予算の管理を行い、当劇場プロデューサーとともに公演ブッキングに携わる。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
コロナ禍の劇場対応として、近隣施設、同規模ホールとのネットワークの重要性をひしひしと感じています。今回、各公立文化施設の皆様と情報交換できるいい機会となりました。


森 七恵(もり・ななえ)

公益財団法人箕面市メイプル文化財団芸術創造セクションアソシエイトマネージャー 兼 箕面市立西南生涯学習センター館長

2009年前身の財団法人箕面市文化振興事業団に入社。市民とともにつくるオリジナル舞台「箕面芸術祭」の制作に携わるほか、箕面市・箕面市教育委員会の委託事業「箕面シニア塾」「生涯学習講座」の企画・総括を務める。2017年から箕面市立メイプルホール副館長、2020年現職。企画力・発信力を身につけるべく箕面の外の世界に立ち向かっているところ。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
これまで目の前のことばかりに奮闘してきましたが、少しずつ外の世界に目を向ける余裕と機会に恵まれました。コロナ禍の厳しい状況でありながら、このシンポジウムでのたくさんの新しい出会いに感謝しています。仕事におけるアンテナとセンスの精度はまだまだですので、このシンポジウムへの参加を一つの糧に文化を支える一人として成長したいと考えています。


山田愉香(やまだ・ゆか)

河内長野市立文化会館(ラブリーホール)事業グループ

2014年に(公財)河内長野市文化振興財団に入団。ラブリーホールチーム・事業グループに所属し、ラブリーホール・ミュージカルスクールの運営に携わるほか、長年開催されてきたかわちながの世界民族音楽祭を継承しつつ、奥河内から世界へ発信するワールド・ミュージックをコンセプトとする「奥河内音絵巻」シリーズの企画・制作などに携わる。2020年1月に女児を出産し、子育てしながらの文化振興への携わり方を模索中。 

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
同じ現場で活躍される方々とこのシンポジウムを通じて多種多様な意見交換ができ、大変うれしく思います。できる限り素の自分で、現場の生の声をお伝えしたいです!


第3回 大阪芸術文化交流シンポジウム
人と地域を育み・つなげる場:立文化施設の現場から
(2021年2月8日開催・主催:大阪アーツカウンシル)
※開催詳細はコチラ