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コラム | 大阪だから実現 今年も「4大オーケストラの饗演」

2016.4.21 |
 大阪の四つのオーケストラがフェスティバルホールに再び集結します。 4月24日に開かれる「大阪4大オーケストラの饗演」は、大阪フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪交響楽団、日本センチュリー交響楽団が個性あふれる演奏をぶつけ合う、お祭り感たっぷりのコンサート。「大阪国際フェスティバル」の目玉企画として昨年初めて開催され、大きな反響を呼びました。 「4オケが集まるというとてつもない発想は実に大阪らしい」と関西フィル桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎さん。センチュリー響首席指揮者の飯森範親さんも「東京ではベートーベンの全交響曲を一日で演奏することはできても、全オケが出演するコンサートは難しい」と話します。東京には日本オーケストラ連盟正会員だけでも九つもの楽団があり、確かに物理的に困難ですね。 感覚的にも、競争相手と同じ舞台に立つことは「東京では考えられない」と大阪フィル首席指揮者の井上道義さん。「でも、大阪の感覚としてはこういうのもあり。突き詰めれば、大阪の人が面白がってくれればいい」 大阪だからこそできる全オケ共演。各オーケストラ事務局や舞台スタッフにふだんから交流があったことも実現の大きな力になりました。「昨年のスムーズな連携には本当に驚かされた。助け合って一緒にやろうじゃないかという気質が見えました」(センチュリー・飯森さん) 何より、こう言う企画を楽しむ観客の存在が実に大阪らしい、と指揮者たちは口をそろえます。 さて、第2回、指揮者のみなさんはどんな意図でどんな曲目を選んだのでしょうか。 大阪交響楽団を率いる外山雄三さんは今年85歳になる指揮界の大ベテラン。大響のミュージックアドバイザーに今月、就任したばかりです。20世紀を代表するロシア出身の作曲家ストラビンスキーのバレエ音楽「かるた遊び」を演奏します。「大響は非常に若いオケ。演出しなくても若さが出る。どうしたらより豊かな音楽をつくれるか、一緒に探求していきたい。今回はストラビンスキーをきっちり練習してきっちり組み立ててお聞かせする、それだけを考えています」 大阪フィルの井上さんはフランス音楽で勝負します。ラベル「ダフニスとクロエ」第2組曲。創設指揮者・朝比奈隆さんが力を入れた重厚なドイツ音楽のイメージがいまも根強い大フィルですが、井上さんは「大フィルを大阪のオケ、話し好きで饒舌で人生を楽しんでいこうという人々のいる地域のオケとしてとらえるなら、もっとラテン的な音楽をやってしかるべき」と考え、積極的にフランス、スペインや南米の音楽を取り上げてきました。「ラベルのような(繊細な)曲で大フィルがいい音を出せなければ話にならないと思っている」 関西フィルの飯守さんは東京の新国立劇場オペラ部門芸術監督でもあり、ワーグナーのオペラがライフワーク。今回もワーグナー、楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「前奏曲と愛の死」です。「ワーグナーの音楽をつくるには時間がかかります。関西フィルとは約20年のお付き合い、ワーグナーの共演を重ね、時間をかけてみっちり音楽をつくっていく関係が実現しつつあります。その成果を披露したい」 センチュリー響の飯森さんは「指揮界の先輩たちの胸を借りるつもりでベートーベンの『運命』を指揮させていただきます」。2015年度からハイドンの100曲を超える全交響曲を演奏する「ハイドン・マラソン」をスタート、ドイツ音楽の和音や旋律のつくり方を探求しています。その延長線上にある作曲家としてベートーベンに取り組みたい、と抱負を語りました。 外山さんが80代、飯守さんが70代、井上さんが60代、飯森さんが50代。大阪の各オーケストラの個性と共に、様々な年代の指揮者を聴くチャンスでもあります。(佐藤千晴)      

インタビュー | 舞台と客席が一緒につくる豊かな時間 指揮者大友直人さんに聞く

2016.3.2 | 大友 直人
大阪市主催のクラシックコンサート「Enjoy! オーケストラ Part2」が2016年3月3日(木)19時から大阪市のザ・シンフォニーホールで開催されます。若い世代やクラシック初心者の大人にもオーケストラの楽しさを伝える企画です。子どもや中高生がステージに上がって演奏を聴けるコーナーが名物。食い入るようにオーケストラを見つめる子どもたちの姿は、客席から見る大人にも楽しいものです。 指揮は大友直人さん、演奏は大阪フィルハーモニー交響楽団。10月の「Part1」に続いての登場です。今回は「オーケストラの楽器」をテーマに、木管楽器、金管楽器、弦楽器、打楽器……様々な楽器の音色に焦点を当てます。 大友さんは東京交響楽団の「こども定期演奏会」(年間4回)を2002年から12年間、サントリーホールで手がけました。京都市交響楽団でも常任指揮者だった2003年に「こどものためのコンサート」を始め、子どもたちに本物の音楽を届けることがライフワークの一つです。大友さんにこの演奏会についてお話をうかがいました。 「『Enjoy! オーケストラ』のコンセプトは、定期演奏会の常連や長年のオーケストラファン以外にも本当のシンフォニーコンサートの醍醐味を感じていただくこと。常日頃から演奏会には全力投入を心がけていますが、このコンサートにいらっしゃるのは一期一会のお客様、強い思いを込めています」 東京生まれの大友さんは小さい頃からオーケストラファンで、小学校4年生でNHK交響楽団の定期会員になったそうです。子ども時代の音楽経験を「小学生の頃にシュトックハウゼンなど現代音楽もごく自然に聴いていました。ところがモーツァルトの楽しみ方は分からず、マーラーの方がドラマティックで良かった」と振り返ります。「大人が考える『子ども向け』と、子どもの感性はずれているのではないでしょうか」 3月3日の演奏曲目は、バッハやモーツァルトもありますが、現代日本の作曲家芥川也寸志さんの作品や、大友さんが愛する英国の作曲家からブリテンやエルガーも取り上げます。  「10月の『Part1』で一番人気があったのは、吉松隆さんの曲でした。子どもたちは『響きが新鮮だった』とアンケートを寄せてくれました」 「本物のシンフォニー」と並んで大友さんが大切にしているのは「ステージと客席の一体感」。「野球やサッカーなら『きょうは楽しもう!』と積極的な気持ちで出かけ、選手と一体になって楽しむでしょう? ポピュラーコンサートも同じですよね。でもクラシックは客席で緊張する方や、『きょうはここが出来ていない』と減点法で聴く方も結構いらっしゃる。舞台の上の音楽家も評価を下される気持ちになってしまいます」 大友さんは子ども向けコンサートで、ささやくような小さな音にみんなで耳を傾けたり、「静寂をつくってみましょう」と音のない時間を体験したりの実験をすることがあります。客席に呼びかけて「普通の拍手」と「気持ちのこもった拍手」をしてみると、その響きの違いにみんなびっくりするそうです。 「ピアニシモの音も静寂も、会場のみんなが耳を傾けなければ生まれません。ホールでは舞台の上の音楽家も客席のみなさんも一緒に豊かな時間をつくることが一番意味のある、面白いことなんですよ」 トークの名手でもある大友さん。「ホールの全員が一緒につくる豊かな時間」も指揮してくれることでしょう。(聞き手・佐藤千晴) 大阪フィルハーモニー交響楽団ホームページ

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